耐えられる、という発想の怖さ
ナンピン、トラリピ、スワップ投資など「含み損を耐える」という戦略は特に珍しくありません。
私のEA「CashRush」もナンピンして含み損を強引に利益に変えるタイプです。
含み損に耐えられなければ当然破綻しますので、どの程度の変動に耐えられるか、というものさしは常に大切です。
まぁ基本戦略ですよね。
では何が怖いと私は思うのか。
説明させていただきます!
金額が足りるかどうかばかり考えていた
私自身の経験をお話しします。
私は過去、特に初心者時代、スワップ投資にハマっていました。
簡単ですしチャリンチャリンと目に見えてお金が増えていく感覚も楽しい。
下がってもナンピンすればスワップも増えるし一石二鳥!と思っていました。
そしてそこで重要になってくるのが、
「その通貨がいくらになったら破綻する」
という基準でした。
例えばその当時、私はドル円を保有しており1ドル120円前後。
私はどれほど下がっても80円を割る事は無いだろう、くらいの想定をしていました。(今から考えればこの想定自体も甘かったわけですが)
数百万円の資金は当時私の全財産に近いもの、それがゼロになる地点が80円割れ。
そう設定して投資を始めたわけなんです。
ここが「物理的に耐えられるライン」
ここまで来なければ大丈夫、と本気で思っていました。
精神的な限界はもっと早くきた
結果から申しますとその時代、120円前後から紆余曲折を経て70円台まで円高は進みました。
私が損切りをした(せざるを得なくなった)のは、おそらく100円も割れていない頃だったと思います。
80円割れを視野に入れて始めた投資も、あっけないものでした。
そうです。
精神的に耐えられなかったのです。
300万円ほどの資金で含み損は-150万円。
つまりほぼ半分の価値になっています。
このような巨大な含み損をさらに長期に渡って抱えて、なおかつこの先の相場がどうなるかもわからない。
こんな心の状態を、最初に予想できていたでしょうか?
私は想定できていませんでした。
机上の数字がゼロにならなければ大丈夫なんだ。
本気でそう考えていたのです。
現実は毎日毎日とても苦しい日々。
社会情勢も刻々と変化し、もらえるスワップもどんどん減ります。
買っているドルの価値が下がっているのですから当たり前です。
さらなる円高へのニュースが毎日流れて、スワップ派の方がどんどん死滅していく。
こんな苦しい状態を何年も我慢して、やがていつか120円に戻る時がきたとして、その時の利益は実はめちゃくちゃしょぼい事もわかっている。
私は悟りました。
苦しむために投資をやるべきでは無い。
楽しむために投資をやるべきだ。
と。
そこから「損失の限定」それも「現実的な限定」という考え方に急激にシフトしていきました。
想定は金額よりもその金額を失った時の感情で
得意不得意はみなさんそれぞれあると思います。
私は自分の顧客様には一切オススメしませんが、スワップ投資などそういった耐える戦略を取る事は自由です。
が、考えておいて欲しいのは、人間はそんなに強く無いという事。
投資は余裕資金で、と必ず入門書に書いてありますが、一つの真実です。